パンの大神
Blurb
『パンの大神』は、英国の小説家アーサー・マッケンによる中編怪奇小説である。原題はThe Great God Pan。古代からの魔術的な力と人間の内奥にかかわる恐怖を、性的な仄めかしを交えて描き、発表当時大変な物議を醸した。1890年から1891年には既に書かれていたと思われるが、出版拒否にあい、日の目を見たのは1894年になってからであった。現在ではマッケンの代表作の一つと見なされている。
パンをめぐるギリシア・ローマ時代からの伝説を背景にしているが、作品に近代的な説得力を持たせるため黎明期の生理学と近代心霊主義の混交物を援用している。錬金術師オズワルド・クローリウスやGaius Julius Solinusの'DE MIRABILIBUS MUNDI'、ノーデンス神の石版等への言及も作品に奥行きを与えている。最後に明かされる魔性の女性の出自がミッシング・リンクとなり、ストーリー全体を支えている。『黒い封印の話』"Novel of the Black Seal"、『白い粉薬の話』"Novel of the White Powder"、『白魔』"The White People"、『小人』"The Little People"と共通した様々な要素が見られる。
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