The Sound of the Mountain
Blurb
『山の音』は、川端康成の長編小説。戦後日本文学の最高峰と評され、第7回野間文芸賞を受賞。川端の作家的評価を決定づけた作品として位置づけられている。老いを自覚し、ふと耳にした「山の音」を死期の告知と怖れながら、息子の嫁に淡い恋情を抱く主人公の様々な夢想や心境、死者の夢を基調に、復員兵の息子の頽廃、出戻りの娘など、家族間の心理的葛藤を鎌倉の美しい自然や風物と共に描いた作品。繊細冷静に捕えられた複雑な諸相の中、敗戦の傷跡が色濃く残る時代を背景に〈日本古来の悲しみ〉〈あはれな日本の美しさ〉が表現されている。『山の音』は海外でも評価が高く、2002年にはノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に、近代日本の作品として唯一選出された。
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