ニック・ホーンビィの『How to Be Good』の主人公、ケイティ・カーは、確かに「良い人間」であろうとがんばっている。だからこそ彼女は一般開業医になったのだし、第三世界の債務やホームレスの問題を気にかけているのも、分別ある母親として必死に子どもたちと向き合おうとしているのも、そのためだ。そして、自称「ホロウェーで一番怒っている男」である、夫のデイヴィッドにずっと我慢してきたのも、ひとえに良い人間でありたいがためなのである。 …