『ブッデンブローク家の人々』は、1901年に発表されたトーマス・マンの長編小説。マン自身の一族をモデルに、北ドイツ、リューベックの商家の4代にわたる歴史とその衰退を描いている。戦前のヨーロッパにおいてベストセラーとなり、1929年にマンがノーベル文学賞を受賞した際にはこの作品が受賞理由として挙げられた。全体は11の章からなり、副題として「ある一家の没落」が付されている。 …
『魔の山』は、1924年に出版されたトーマス・マンによる長編小説。ドイツ教養小説の伝統に則ったマンの代表作の一つである。 作品はハンス・カストルプ青年が、第一次世界大戦前にスイスのアルプス山脈にあるダボスのサナトリウムに従兄弟を訪れることから始まる。そこで彼は結核にかかっていることがわかったため、その後7年にわたってそこに滞在することになる。その7年の滞在期間中に、彼は大戦前のヨーロッパの縮図を構成しているような様々な人物から学び成長していく。 …
『ファウストゥス博士』は、トーマス・マンの小説。『ファウスト博士』とも訳される。1947年刊。架空の近代音楽作曲家アドリアン・レーヴァーキューンの運命をファウスト伝説を下敷きにして描いた長編で、マン晩年の作品。「一友人によって語られるドイツの作曲家アドリアン・レーヴァーキューンの生涯」の副題が示すとおり、古典語学者ゼレヌス・ツァイトブロームが年下の友人であるレーヴァーキューンの生涯を語り起すという設定で書かれている。もともとはマンが若い頃に短編の素材として着想したもので、1943年になってふと思い出し長編に仕立てたものであった。 …
『詐欺師フェーリクス・クルルの告白』は、トーマス・マンの小説。幸運の星の下に生まれたライン河畔の商人の息子フェリーリクス・クルルが、周囲を欺きながら盗みと身分詐称の腕を磨き成功を重ねていく話で、一種の悪漢小説である。ルーマニア出身の19世紀の盗賊マノレスクの回想録を素材にしつつ、ゲーテの『詩と真実』を範として書かれたものだが、話の筋はマンの自己パロディという側面も持つ。『大公殿下』執筆後に着手され、1913年に中断。1922年にクルルの幼年時代のみを扱った第一部を刊行、1937年に断片的な第二部を加えた版が刊行、着手から40年越しの1954年になって第三部までが「回想第一部」として出版された。さらに第二部が書き継がれる予定であったが …