One for the Money (Stephanie Plum, No. 1)
Blurb
『私が愛したリボルバー』、いかにもハードボイルドな日本語タイトルである。主人公はステファニー・プラムというバウンティ・ハンター(女賞金稼ぎ)。裁判をすっぽかした保釈中の容疑者を見つけ出し、警察につき出すことで報酬をもらう。保釈金を踏み倒して身を隠すような輩であるから、連れ出す相手は相当物騒であることは想像がつく。護身用にリボルバーを手にしなければならないほどに。しかし意外にも、ステファニーは勇ましさやたくましさとはまったく縁がない。銃だって撃ったことがないし、そもそも危ない仕事など、できればやりたくないというタイプ。そのミスマッチ感覚がたまらなく楽しい。仕事をクビになり、クレジットカードも車も没収。電話代も払えない始末となったのに再就職先がない。たった今この空腹をなんとかするために、とにかくやるしかない、のである。お金のために、行きがかり上仕方なく、とはいえ、ずいぶんとマッチョな仕事についたものである。しかしステファニーには、男と張り合う気負いがまるでない。すぐにべそをかくし、助けが必要ならば一応躊躇(ちゅうちょ)するだけの職業意識はあるものの、あっさり降参して頼れる男を呼び出す。彼女をサポートしてくれる男たちも魅力的。男を敵にまわすよりも共生していきたいと臨む90年代型の女主人公の登場である。
小難しい筋書きは一切なし。ドジでどちらかというと間の抜けた主人公が、あれよあれよという間に、かなり危ない事件に巻き込まれていく。ステファニーの魅力に乗って走り出したら止まらない事件の行方はジェットコースターなみのドキドキを体感させてくれる。(木村朗子)
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