Blurb

『荒地』は、T・S・エリオットの代表作である長編詩。
1922年『クライテリオン』創刊号に発表された。全5部からなり、「死者の埋葬」「チェスのゲーム」「火の祈り」「水のほとりの死」「雷の言ったこと」と題され、第一次世界大戦後の西洋の混乱を前衛的な表現で、古典文学からの引用を鏤めて綴った難解なものである。
「荒地」は死の国のことで、「四月は残酷な月」という一説がきわめて有名である。さらにセックスの荒廃と、その創造性とを描き、死と荒廃の支配と希望を描きつつ、いずれとも結論は示されない。ジェームズ・フレイザーの『金枝篇』などに学んだ古代文化の死と復活の主題が織り込まれている。
日本でも大きな影響を与え、特に戦後の鮎川信夫らの詩誌『荒地』はこれをそのまま題としている。1938年に上田保が初めて日本語訳し、戦後は西脇順三郎の訳が広く読まれた。

First Published

1922

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